留学フェローシップで活動されている5人の先輩に、留学についてのお話を聞きました。実際に留学を決意した経緯から、学んだことまで、たくさんのお話をしていただきました。
本日は前半として、キャラバン7月隊として活動されている2人の先輩を紹介します。
目次
プロフィール

佐野史佳 アメリカの大学に在学中。高校2年生の時に父の転勤で渡米。現在は医療の道に進むべく、生化学分野を中心に興味のあることを模索中。
Kさん 9月からアメリカの大学に通うギャップイヤー生。専攻は人類学。高校2年生まで日本の高校にいたが、香港のインターナショナルスクールに転校した。
留学を決意した時期とその理由
K:中3の終わりから行きたいと思っていました。私の通っていた中高一貫校では、受験のために勉強というインプットはしても、課外活動のようなアウトプットの機会はあまりなかったです。そのため、自分自身が何が得意なのか、何が強みなのか、わからないと感じ始めました。だから、自分が卒業した後どのように自分らしいキャリアを選んで過ごしていけるようになるのかも想像がつきませんでした。その時、海外大学の先輩とたまたまお話しすることがあり、自分らしい軸を持って周りのために何ができるか考えて行動されている姿に純粋にかっこいいと思いました。それで、このような人たちに囲まれて、課外活動やディスカッションというアウトプットが多い環境で学んでみたいと思って、アメリカの大学を視野にいれ始めました
佐野:私は最終的にアメリカの大学への受験を決めたのは高校3年生の夏と、遅い決断でした。高2のはじめに父の転勤で米国の方に渡ってから長い間私も両親も、日本の大学に進学するのが現実的だと思っていましたが、日本人どころかアジア人も殆どいない現地校で揉まれて過ごすうちに「いやこのままアメリカにいるのも面白いんじゃないか」と思うようになりました。調べていくうちにアメリカの大学はレベルを選ばなければ受験的ハードルは高くなく、自分にも充分現実的な選択肢であると確かめることができました。興味のある医療分野の発展がアメリカで目覚しかったこと、そして多様な人種や文化が入り混じる国での教育に面白さを感じたことが決定打となり、両親を説得して受験直前の高3の夏にアメリカに残ると決めました。
アメリカを選んだ理由
K:アメリカにしたのは学びたい人類学の研究が進んでいること、また結果的に奨学金が貰えたという経済的な理由も考慮してアメリカにしました。
佐野:高校2年間をアメリカで過ごし、なんて面白い国なんだ、もっとこの国で過ごしてみたい、と思ったからです。アメリカ合衆国は、生まれた国も文化の違いも、様々なバックグラウンドが歓迎されながらも、差別問題や文化的衝突なども常に隣り合わせの国だと思います。その中で様々な人がもがきながらも生きているのが素敵だな、もっと色々なものや人に出会ってみたいなと思いました。
アメリカの大学と日本の大学と違い
佐野:最も違うのは入学をするときに殆どの大学で専攻を選ばなくて良いことです。裏を返せば入学をした後にみんなで競い合ってその専攻に入らなければならないというプレッシャーが余計に増えるということかもしれませんが…。私は今生物化学の専攻に所属していますが、心理学や経済学の授業を取ってみたり、そういうつまみ食いみたいなのをちょこちょこしながら、自分が本当に興味があることは何なのか見つめ直す時間が長く取れるのはアメリカの大学の特徴だと思います。沢山の選択肢を持つのが好きなひとにはとてもあっていると感じます。
K:学費は全然違いますね。私立だと特に1年間で700万円から900万円で、それが4年あるのでかなり高いです。私はほぼフルで奨学金をもらって大学に通います。そう考えると日本の大学ってかなり安くて、香港とかシンガポールでも留学生だったら400万くらいはするので、学費の面ではかなり日本は特殊かなと感じています。
留学したから気づけた日本のこと
佐野:本当に強く感じたのは、日本は平等性を求めるということです。アメリカでは、高校の時から社会での階級の違いをまざまざと見せつけられて育ちます。大学はすごくお金がかかるので頭が良くても行けない子がいっぱいいたり、高校の時から制服がないから毎日同じ服を着てる子もいればすごい高いものを着てる子もいたり、自分ではコントロールできない肌の色とか、そういう社会的な立場を全部含めて不平等を見せつけられるのはアメリカの特徴ですね。それに対して日本の教育のシステムはテストの点数だけで大学に入ることを競ったり、ずっと平等で、不平等な点が隠されているから向上心を持ってるのかなっていうのは感じています。アメリカで社会的な不平等さで心が折られてしまう人も結構見てきました。ただ、これはメリットもデメリットもあると思います。今日のスケジュールから、自分の将来像まで、全部自分で考えて組み立てなければいけないので、自分で選ぶのが好きな人にはアメリカはすごくあっていると思います。
K:テストの点数だけが評価の基準ではないことは日本との大きな違いだと思います。アメリカはテストがオールAでも落ちることがあって、テスト以外で何か自分の強みを見せなければいけません。日本では勉強できれば良い、偏差値が良ければ良いと教えられますが・・・。自分のやりたい事っていうのをしっかり持っていて、それを突き詰められる人が求められるという点では、かなり大きな違いかなと思います。
留学して得た力と今後への活かし方
佐野:得たのは、なんでもチャンスと思う力ですかね。一学年7000人のすごく大きい大学にいるので、すごい数のクラブとか組織がキャンパス中にあって、先ほども言ったみたいに自分でやることを一から考えなきゃいけないので、やってみないかと言われたことはやるっていう選択をとりあえず考えてみるようにしています。もらった機械をチャンスだと思って捉えてみることは新しい一歩を踏み出す上で大事なことなんじゃないかなと思っています。この力は今後も活かしていきたいです。
K:香港のインターナショナルスクールでは、80か国から生徒が集まっていたり、デモによる政治的な対立もあったので、自分と違う立場の人をどう理解するかを身につけられたと思います。
佐野:特権と権利の違いを考えることは少し身についた気がします。大学に通ってることは当然の権利じゃなくて特権だし、家があるって事は当然の権利じゃなくて特権だと言うのを考えることができたのは、そうじゃない人もいっぱいいるって言うことを見てきたからだと思います。
お二人が主体的に考えて行動していることがとても伝わるインタビューでした。
後半に続きます。
★留学フェローシップ 今年で設立7年目となるNPO法人。主に海外大学に通う現役の大学生とそれを応援する教員が一緒に活動し、毎年日本全国で中高生を対象に様々なイベントを開催している。「主体的に学びをデザインできる人の育成」を理念に掲げ、本当に学びたいことに責任を持ち自分らしく学んでいく中高生をサポートしている。 ★留学キャラバン隊 「1人でも多くの中高生が、自分にあった進路選択を」をコンセプトに、海外進学という選択をした大学生メンターが「自分らしい進路選択」について考える機会を提供するイベント。隊員のプレゼンテーションや、ワークショップ等を用意し、全国の皆さんのご参加をお待ちしています。今年度はオンラインでの開催です。