海外大学に留学した先輩のお話~留学フェローシップ編~ 後半

留学フェローシップで活動されている5人の先輩に、留学についてのお話を聞きました。実際に留学を決意した経緯から、学んだことまで、たくさんのお話をしていただきました。

本日は後半編です!前回のお二人に引き続き、キャラバン6月隊として活動されているお三方のお話を紹介します。

プロフィール

高島 崇輔

カナダのブリティッシュコロンビア大学に在学。専攻は心理学を予定。留学キャラバン隊で高校生が自分らしい選択をできるよう日々奮闘中。 
野間 翔介

アメリカ、マカレスター大学に在学。国際関係学とコンピュータサイエンスの両方を専攻予定。専攻を2つ選ぶことのできるアメリカの大学に惹かれ、様々なことにチャレンジしている。
向井 千尋

イギリス、ダラム大学に進学予定のギャップイヤー生。国際関係学を学びに行く。海外への憧れはそれほど強くないが、将来の夢を実現するため、海外進学を選んだ。

留学を決意した時期とその理由

高島 :僕は高校卒業後、千葉大学に入学しています。海外進学を視野に入れ始めた時期は大学に入学して3ヶ月後の7月くらい。 最初は海外大学生の集まるサマーキャンプで彼らと話したときに、自分も海外に行きたい、違う国の教育を受けてみたいと思ったんです。最終的に受験を決意したのは8月末ですね。 

野間 :視野に入れ始めたのは高校2年生の夏ぐらいです。ただ当時はあまり真面目に考えていなくて、実際に大学受験の準備をし始めたのは高校3年生の春です。そこまでは成績の面で悩んだり、少しグダグダしていましたね。最終的に決めた理由は、学びたい分野が情報工学と国際関係学の2つあって、日本の大学では両方学ぶことはできないけれど、アメリカでは専攻を2つ選ぶことが可能だったからです。それに加えて専攻以外でも興味のある、芸術分野も学べるのがとても魅力的でした。あとは、周りの生徒が大学の知名度とかで進学先を決めていくのに疑問を持って、日本の学歴主義から離れたいと思ったのも1つの理由です。

向井 :海外進学を視野に入れ始めたのは同様の高2の夏です。私は文科省が指定しているスーパーグローバルハイスクール指定の高校で、そのプログラムの一環としてアメリカのリーハイ大学に研修に行った時に、アメリカの授業の形態や生徒の質にすごく感銘を受け、海外進学を視野に入れ始めました。私もその頃はどこか楽観的で、私なら大丈夫と少し思っていたので、必要な英語の資格を取ったのは高3の夏で結構ギリギリでした。そこから真剣に考えるようになり、結局はイギリスの大学に進学することになりました。進学を決めた一番の理由は学問を基準として考えた時に、自分の学びたい国際関係学が日本よりも専門的に学べるからです。

留学先の国を選んだ理由

高島  (カナダ):アメリカとカナダを受験していてどちらの国にも行ける選択肢はありました。最終的に決めた理由としては、アメリカに進学する人が多く、それなら自分はカナダに行ってみようかなとなんとなく思ったのが1つ。2つ目は、卒業後の選択肢の広さです。カナダでは大学卒業後、文系理系にかかわらず3年間の就労ビザを申請できます。アメリカだとそれが理系分野に限られ、現地就職はかなり厳しいと聞いていました。卒業後残ってみたいと思った時の選択肢の広さとしてカナダに惹かれました。ただ、自分の中では1つ目の理由が大きいですね。アメリカに行く人が多いので(笑)

野間 (アメリカ):学問的には専攻を2つ選べること、専門以外の授業も取れることです。あとは、高校生の自分は自由に向かって生きようとしていたので、アメリカの他の国より自由なイメージにすごく憧れがあったからです。

向井 (イギリス): 国際関係学という複雑で深い理解が必要な学問に取り組むには、専門的に学べるイギリスが適していると思ったからです。将来的に取り組みたい女子教育の分野についても、女王(いわゆる女系王)を認めているイギリスは、近年さらにジェンダーに寛容になっていると感じられます。だからイギリスこそ私が学ぶべき場であると思い、進学を決意しました。 

日本の大学との違い

高島  : こんなに違うんだって思う時もあれば、こんなに一緒なんだって思うときもあります。違うのは、学科を決めずに入学し専攻は2年生の終わりに決められることです。これは北米の大学の特徴で、そもそも学部や学科を決めて受験する日本の大学とはシステムが違います。授業はもっと違うと思ってたんですけど本当に変わらない部分も多いです。僕の大学は大規模な総合大学なので、300人で授業を受けたりとかも結構あって、そこは日本の大学の講義とあまり変わらないですね。 

野間 :僕が通っているのは小規模なリベラルアーツカレッジで、取っている授業は一番少ない人数で12人、一番多くて20人で受けています。日本の大学と違うのは、教授が絶対に生徒全員の名前を覚えていて、個人に対してすごく気をかけてくれることです。それぞれに対する対応が柔軟で、人種的な理由で言いづらい相談や、障害があって授業を受ける上で必要なサポートを伝えたりしやすい環境にあります。あとは、授業数は絶対に違います。僕の大学では1週間のうち授業は4つしかありません。ただ、各授業は1回3時間もあります。一方では日本の大学は授業数が10以上になるのが普通なのかなと思います。授業外で違うのは課題の量です。大量の課題が出るので、授業外はほとんど課題を終わらせるために時間を使っています。日本の大学生はバイトやサークルなど色々時間を自由に使えるのに対して、僕らはそこまで自由な時間がない分空いた時間をいかに楽しく過ごすかという所に集中していると思います。

向井 :私はイギリスにこの秋から進学する予定のギャップ生なので、大学にはどこにも通ったことがありません。ただ、秋からはイギリスの大学にそのまま行くのではなくて、高校と大学の間に位置づけられる、ファンデーションコースというのに行きます。なぜいきなり大学進学ではないのかというと、日本の高校の教育では海外の大学で学ぶだけのスキルがまだないからです。イギリスの高校では、大学でのノートの取り方やエッセーの書き方、大学で必要なスキルを身につけますが、日本の高校では学ぶことができないので、日本の高校から直接イギリスの大学には行けないんです。イギリスの高校は大学を見据えて、その準備は高校の時代にやっていますが、日本の高校教育ではやってないというのは違いとしてあげられるかなと思います。

留学して得た力と今後への活かし方

野間 :授業の一部で共通している、自由に考える力を得ました。1学期に取っていた社会起業の授業では、間違えていても実現不可能でも良いからとにかくアイデアを出して、実現性は後から考えていけばいいというスタンスで、様々なプロジェクトを作成しました。今までは自分がアイデアを出すということに長けているという風には感じていなかったのですが、この授業を通して、アイデアを練っていくことがすごい好きだと言うことに気づきました。実際に実現できるかとか、社会にどうやって貢献するかというのは自分の周りにいる頭のいい人たちに任せて、自分は誰も思いつかないようなアイデアを出していきたいと思っています。キャラバン隊の活動の中でもアイデアを出すというのに力を入れていて、これが大学卒業後も生きてくるのかなと考えています。

高島  :授業だけではなく、サッカーのチームメイトやスーパーにいる知らない人などにも共通して感じることは、自分の自然な自己表現を大切にしていることです。サッカーでは、同じチームなのにみんな言いたい放題で意見がまとまらないのですが、自分の意見を押しつけるのではなく、「僕はこう思う。あなたは?」というように、意見を言う分相手の意見を受け入れようとします。 僕は将来公教育に関わりたいと思っているのですが、意見を言うことが意見を押し付けることに直結しないことを伝えていけたらいいなと思っています。キャラバン隊の中でもどうしても僕らが言うと高校生からは「海外大学生だから」と思われてしまうこともありますが、僕らは押し付けているわけではなくて、自分たちが考えていること初めに表現してあげることでみんなの意見や、自分を表現しやすい環境を作れたらいいなと思います。 

向井 : 私はこれから何を学びに行くかと言うと、 とにかく失敗をしに行きます。高校時代失敗がいかに大事かを学びました。そこで、自分は今までどんな失敗をしたんだろうって考えたときに、あんまり大きい失敗はしたことがなくて、なんだかんだ高校も通ったし、スーパーグローバルハイスクールの選抜にも通ったし、あんまり人生でメンタルがボロボロになる経験はないことに気づきました。私がこれからやっていきたい将来のお仕事は答えのないものに対してそこにアプローチしていく、国際関係学の分野です。答えがない漠然としたものに立ち向かっていくのはすごく勇気のいる事だしすごい挑戦だと思っていて、失敗しても折れない心が必要だと思います。海外に行く1つの目的は、あえて自分を厳しい環境においてとにかく失敗する。そして、その失敗を経験して自信をつけて新しいことに挑戦するということです。キャラバン隊でも自分の掲げている難しい目標をみんなの力を借りながらなんとか達成して、自信を持って新しいことに挑戦できたらと思っています。

お話をしてくださった5人の先輩方、ありがとうございます。

留学キャラバン隊では、さらに留学のディープなお話を聞けるとのことですので、是非皆さんご参加ください!

★留学フェローシップ

今年で設立7年目となるNPO法人。主に海外大学に通う現役の大学生とそれを応援する教員が一緒に活動し、毎年日本全国で中高生を対象に様々なイベントを開催している。「主体的に学びをデザインできる人の育成」を理念に掲げ、本当に学びたいことに責任を持ち自分らしく学んでいく中高生をサポートしている。

★留学キャラバン隊

「1人でも多くの中高生が、自分にあった進路選択を」をコンセプトに、海外進学という選択をした大学生メンターが「自分らしい進路選択」について考える機会を提供するイベント。隊員のプレゼンテーションや、ワークショップ等を用意し、全国の皆さんのご参加をお待ちしています。今年度はオンラインでの開催です。

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