複業先生には、普段は民間企業で働く人、起業した人、昔は先生を目指していた人などなど、様々なバックグラウンドを持った方々が登録しています。実際に授業を行った複業先生にお話を伺いました。
今回インタビューさせていただいたのは、大場由太(おおば・ゆうた)さん。聖光学院中学校にて英語の授業を行っていただきました。普段はアフリカ・ウガンダのプロサッカークラブSOLTILO Bright Stars FCの経営に加え、様々な活動に取り組まれています。
これまでにも災害ボランティアやJICA(※)の青年海外協力隊など幅広い挑戦を経てきた大場さんの信念は“学生のときにスポーツに打ち込んだ経験は将来仕事にも活きてくる“というものです。今回は一時帰国中の大場さんに、複業先生として授業を行った感想に加え、パラレルキャリアについてのお考えを伺いました。
(※)JICA…独立行政法人国際協力機構

―授業の感想を教えてください
(大場さん)以前働いていたJICAでも国際協力や異文化理解についての授業をするという経験があったので、イメージはついていました。ただ、実際に授業を行ってみて、聖光学院の生徒さんの英語レベルの高さに驚きました。担当した中学3年生のクラスでは、みなさんが物怖じしない積極的な姿勢で質問をしてくれたことが印象に残っています。
―授業はどのように進行しましたか?
(大場さん)最初の10分間はこれまでのキャリアに関してお話しました。私の場合は3.11の東日本大震災後に災害ボランティアを行った経験や、青年海外協力隊としてモンゴルで過ごした2年間の生活など、ターニングポイントとなったことについてお話しました。
その後、聖光学院の担当教員であるRoy先生との会話で、どうやって決断してきたのか、その決断のときに怖くはなかったのか、という風に“なぜ”を深堀するセッションを行いました。その後、生徒のみなさんから質問を受け付けるという流れです。

―授業はすべて英語でお話されたんですよね
はい。私自身はネイティブではないので、自分の考えていることがすべて伝えきれたかという点についてはやや不安があります。
―ネイティブスピーカーではない大場さんが、今海外でご活躍されているという話は今日本で英語を学んでいる生徒さんにとってもわくわくする話だったと思います。
(大場さん)そうですね。自分のこれまでの生き方や海外での仕事の話が生徒さんにとって刺激になっていれば嬉しいなと思います。
―世界を舞台にして働くことに興味を持ったきっかけはありましたか?
(大場さん)姉が高校1年生から色んな国に留学していたことには影響を受けたと思います。彼女が帰国後に英語力だけでなく、異文化に対する適応力などを身につけ人間的に成長をした姿をみて、海外旅行ではなく実際に現地で生活して学べる事が数多くあるのだろうと思いました。
私自身は3年間の高校ではなく、5年制の高専に通っていたので就職や進学を考えるタイミングの4年生になったときに自分も海外で働く道を選択しました。

―今の時代、副業を考えている人は増えていますが、大場さんご自身は仕事を複数持つということをどのように考えますか
(大場さん)自分自身は現在4つほどのお仕事に携わっており、今後も増える見通しがあります。副業に注目が集まっていますが、何か一つに打ち込むというのもとても素晴らしいことだと思います。専門的な職業の方々が世の中を支えているというのも事実ですので。
ただ、今後世界が大きく変わっていく中でそういった専門職についていない人にとっては、仕事を多面的にしておくのは非常に価値があるし重要なことだと考えています。それは収入的な面でも自分のリスクヘッジになりますし、精神的な支えにもなります。
複業先生に登録している人の多くは、副業を“お小遣い稼ぎ”というよりは自分の経験値を上げ、持っているスキルを活用する場として捉えていると思います。
私自身も、どれだけ幅を広げるかは分かりませんが、いつか個々の点と点がつながると思いながらいろんな活動に挑戦していこうと思っています。

―自分のキャリアや活動を選択する際の、判断基準のようなものはありますか
(大場さん)よく言っているのは、「自分がわくわくするかしないか」が大切な判断基準になっているということです。この人と働いて自分がわくわくできそうか、その仕事に自分が取り組むことにわくわくするか、ということに尽きるというのが私の考えです。直観と本能です。
複業先生に参画したのは、もともと自分が教育に興味があったのと、本業にしているウガンダでのサッカークラブの経営も、ゆくゆくは現地の子どもたちの教育環境の改善や就業支援につなげていきたいという想いがあったからです。今のうちから教育事業のベンチャー企業であるLX Designのサービスに関わるのは自分にとっても有意義であると考えています。
―今後の大場さんの展望をお聞かせください
自分にしか出せない価値を生み出したいと思っています。それは、手に職をつけて何かものを作るだけではなく、自分自身しか経験していない点をつなげて線にするということも含めて価値の創出だと思っています。今はいくつかしかない点を、今後いろんな人と会う中で増やしていき、つなげて線にしていきたいと思っています。
‟わくわく”をキーワードに自分の活動を広げる大場さん。楽しさを追い風にしたスピード感と、貪欲な学びの姿勢を感じました。お話聞かせていただき、ありがとうございました!
▶大場さんがGMを務めるSOLTILO Bright Stars FCの公式HPはこちら!