【複業先生】多様な進路の可能性を知る2部構成の複業先生イベント

10月20日、富山県立滑川高校にて複業先生による授業が実施されました。1時間目の基調講演、2時間目の分科会と2部構成になっており、総計9名の複業先生がクラスを受け持ちました。今回は、企画、調整、当日のとりまとめにご協力いただいた同校進路指導部長の小柴憲一先生にお話を伺いました。
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“未来への自分への投資”――視野を広げる複業先生の授業

通常の学校の授業では、授業の科目の枠組みを超えることが難しく「好きなことを追求する」というような生き方について話す機会はあまりありません。今回の複業先生による授業で、芸術や医療など多様なバックグラウンドを持つ複業先生の会社での働きぶりや大学での研究内容等を聞き、また、“未来への自分への投資”を直に学べることで、進路は一つではないということを生徒は感じたと思います。また、年齢の近い現役大学生の複業先生によるコマでは、一人暮らしの家賃などといった生活面の、ある意味生々しい話も聞くことができたので卒業後の自分の暮らしをリアルに想像することができたんじゃないかと思います。

普段の授業とは異なるスタイルで、様々な発見があった

分科会として7つの会場に分かれて授業が行われた2時間目のうちいくつかはオンラインツール(Zoom)を使用して遠隔地にいる複業先生から授業を行ってもらいました。準備段階では通信環境があまり盤石ではないのでとても心配でしたが、当日はLX DESIGNのIT担当の方が調整役として現地にいてくれたおかげで、発生した不具合も比較的スムーズに解消できたと思います。自分自身としてもこれまで使ってこなかったオンラインツールに触れるいい機会になりました。特に印象に残っているのは、武蔵野美術大学で学んでいる複業先生の授業スタイルです。「グラフィックレコーディング(*)」を用いて話をしながら分かりやすく図に落とし込んでいく様子は、生徒のみならず、受け入れ側の先生も大変興味を示していました。デザインがビジネスの場で実際にどういう風に活かされているのかを知ることができたのは、とても有意義でした。

グラフィックレコーディングを使用した授業の様子
実際に当日の授業中に作成されたグラフィック
*グラフィックレコーディング・・・会議の内容を、絵や図を使ってリアルタイムで記録する技法。議論の流れを「見える化」することができる。

もうひとつ、Zoomというオンラインの新たなツールの活用によって発見がありました。それは、Zoomという授業スタイルが、意外にも質問しやすい環境を生んでいたということです。普段、会場やクラスが大きければ大きいほど手を挙げてみんなの前で発言をするハードルは上がってしまいます。しかし今回は、Zoomの画面を少人数で取り囲み、とても近くに先生がいるような体感があるので質問もしやすく、生徒は、一人ひとつは質問をすることができました。

オーダーメイドな授業を実現できる複業先生。生徒たちの背中を押すような時間として活用してほしい

複業先生の授業を実施するにあたり、約2か月前から打合せを始めました。滑川高校としては前例のない取り組みだったので、「どのようなファシリテーションをしてほしいか」また「複業先生をしていただく方にはこんな話にこんな要素を入れてほしい」といった点を明確に伝えることを意識しました。

受け入れ側の学校と、授業を行う複業先生の間に入って調整を行ってくれるコーディネーターの方もいたので準備がスムーズに進んでいきました。また、実施後にフィードバックのミーティングを行い反省点の共有も行いました。

複業先生よる授業は、生徒たちにとって個性豊かな大人の話をきき、自分から興味のあることについて情報を取りに行くような時間になります。そういう取り組みに前向きな学校にはぜひこのサービスを知ってほしいと思いますし、保護者の皆さんにもこの取り組みを積極的に伝えていきたいと考えています。

▼複業先生とは
 "複業先生"は、ITや起業、グローバルなど、様々な分野のスペシャリストと教育現場をつなぎ、学校の新たな関係人口創出を目指すプラットフォームです。外部人材を登用したい学校側と経験豊かなスペシャリストを「先生」の仕事を通じてマッチングすることで、子どもたちに多様な生き方・考え方に触れる機会を提供し、学校の関係人口・地域の関係人口の創出を目指します。

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